固定の施設で働く場合、看取りの仕事を行うことがある。介護施設では、いつ、何が起こるかわからないため、利用者にはその瞬間、瞬間を穏やかな気持ちで過ごしてもらうことが大切だ。
看取りは介護職の最も重要な仕事の1つだ。何らかの事情で、旅立つ際に家族がそばにいない可能性もある。また、仮に親子が険悪な仲であっても、人生最期は和解してお別れしたいと思っている人も多いものだ。もし、自分が亡くなったとき、家族とうまくいっていなければ、いやな思いを残して、永遠に分かれることになり、そんな辛いことはない。いろいろなことを水に流し、最後は感謝して別れたいと互いに思っているものである。介護職は、そうしたことに心砕くことが重要だ。
旅立つというのは、だれしも不安を抱くものである。その時が近づけば、少しでも安心してもらうために、介護職は利用者に対して声をかけ、手を握り、安心してもらうことが大切になる。
生きている間の時間を充実して安らぎのあるものにすることも大事ではあるが、同時に看取りという仕事も大事だ。介護とは、要介護、要支援者の生活を支える仕事であるが、いかに彼ら・彼女らを安らかに見送るかという仕事でもある。つらくて悲しい気持ちのまま旅立たせることがないようにケアしていかなければならない。
若い人ほど、プライベートで死というものを体験していないことが多いので、看取りを視点に入れたケアに関して、十分に考えていくことが必要である。